エヌケー BLOG

元請け会社になることを決意した動機も愛犬からの贈り物

2019年9月9日、千葉県を襲った台風15号。
「令和元年房総半島台風」と命名された大災害。
今思えば、この日が私の人生の大きな転換点だったと感じます。

当時弊社は売上の99%が“下請け”としてのものでした。
お仕事を頂いていた取引先は名前を聞けば誰でも知っている名だたる企業ばかり。
大災害のため、火災保険に加入されている方々は多額の保険金を受け取り改修工事をされていました。
私は元請け企業の指示により、現場調査や雨漏りしている屋根にブルーシートを被せる毎日を休みもなく送っおりました。

ある日元請け企業のお客様から弊社へお電話を頂きました。
私のヘルメットに書いてあった屋号「フィットハウスエヌケー」をネット検索して下さったとのことです。
現場で働いていたため折り返しのお電話を差し上げたところ、こんなご相談を受けました。

『我が家の外回りを直すのに、実際どれくらい掛かるのですか?』

元請け企業様が金額を決めるため、私には分かり兼ねますと返答したところ、会って話したいと熱いお気持ちをぶつけてこられました。
その元請け企業の担当営業マンに相談したところ『行ってきてください』とのことでしたので、数日後にお伺いいたしました。
その時は信じられない現実を突きつけられることなど知る由もありません。

お見積もり金額として私が元請け企業様にご提示したのは、およそ80万円。
まさか大企業だから150万円ほどで出したのかな??
そんな気持ちで伺った私の度肝が抜かれる、、、いや切り裂かれるような思いにさせられたのです。

なんと、衝撃の260万円!!

お客様からいろいろなお話しを聞いているうちに、一つ気がかりなことがありました。
保険金がいくら出たのかを何度も聞かれたようなのです。
台風で屋根が剥がされ雨漏りしているため、内装工事もしなければならない状況で、営業マンは『予算内に収めましょう』と言ってきたので金額を教えたようです。

振り返ると『内装はどれくらい掛かるか?』と営業マンは私にも何度も聞いてきました。
概算で250万円ほどかと答えました。概算なので見積書は出しておりません。
そんなことが頭の中でよみがえる中、お客様はもう一つの御見積書を取り出しました。

案の定、内装工事の概算の御見積書です。
金額は600万円!!
お客様に伺うと、保険会社より890万円がお見舞金として振り込まれたとのことです。

つまり保険金額が知りたかったのは、保険金全額を工事費に充てて利益を取ろうという考えがあったからなのです。

同様のご相談を10件以上頂きました。
皆さま、私のヘルメットをよくご覧になってるなと感心しました。
この日を境に、独立する大きな動機を思い出しました。
『私が元請けになれば、幸せな人が増やせる』
根拠のない自信なのですが、この気持ちが10年前に私を奮い立たせてくれた。

そして数え切れないほどの挫折を味わう度に、“続ける原動力”となってくれていたものでした。
しかし大手企業の”下請け会社“として仕事を続けていくうちに、この気持ちを忘れていたのかもしれません。
寝てても遊んでても、どんどん仕事が舞い込んできます。
いつしか『下請け会社って楽だな』という言葉を発することさえありました。
でも一番大切なこと、そう、初心を思い出すことができたきっかけとなったのです。

あれから3年が経ちました。あっという間ですね。
翌年2020年2月14日、帰宅すると愛犬レイが意識を失って倒れておりました。
私は台風復興工事で、文字通り昼夜問わず、休みもなく毎日働いていた時期でした。
この時はまだ下請け会社だったので、休ませてもらえなかったのです。
慌てて主治医に連絡し、夜遅くでしたが看てくださいました。

しかし人間でいう大学病院を紹介され、数日後に検査入院。
前立腺膿瘍と診断。
この時は『がんの可能性もあるが、手術はしません。播種させてしまう恐れがあるので』と。
(播種・はしゅ:がん(腫瘍)細胞がこぼれ、種をまいたようにバラバラと広がること)
ところが数週間後には『手術しましょう』に変わっていきました。
最初の言葉があるので納得はできませんが、反論する知識などは当然ありませんので、信じて手術を受けました。
ところが手術は失敗。がんが播種してしまい、2〜3日かもしれないとまで言われました。

この日からレイを救いたい一心で、ガンについて勉強を始めました。

レイはまだ一緒にいてくれる!!
そう信じて、文字だけの読みなれない分厚い本を、寝る時間を惜しんで読みまくりました。
そしてレイは奇跡を起こしてくれたのです。
術後たった10日ほどで退院できるほどの回復を見せてくれたのです。
3月31日からは、仕事にレイを連れて行くことにしました。
車の中も木材でレイが過ごすスペースを作ってあげたのがすごく懐かしいです。

余命宣告されてちょうど7か月後、10月16日に虹の橋を渡るまで、レイと充実した日々が過ごせたのです。
もしあのままレイが亡くなってしまったとしたら、私は生きていけなかったかもしれません。
そうでなくてもペットロスで廃人になってしまったかもしれません。
7か月も生きてくれたのは“レイが私のためにくれた時間”だと思うのです。
1秒1秒が計り知れないほど貴重なものであることを気づかせてくれたのです。

現在私は何ゆえに仕事に励んでいるのか?
それはレイとの約束、《かわいそうな犬を助ける活動をする》ためです。

ただ当時は漠然としたものでした。
今は明確にその目標や目的を言葉にできるようになりました。
《レイと同じように病気で苦しむ犬たちと幸せや愛情を分かち合うための活動》
ずっと仕事と保護活動は“分けなければならない”と感じていました。

しかし仕事を頑張る動機も、我が家で迎え入れた保護犬4頭との生活も、購入する車や会社の事務所の間取り作りもその全てが《犬の保護活動》を中心に回っているのです。
ですからこれを取り払って私の人生は語れないと思っています。

このホームページでも、保護活動についてお伝えしていきます。
そしてぜひ、恵まれない犬たちを救いたいと少しでも思うお気持ちをお持ちの方は、ご協力くださいませ。
宜しく御願い致します。